2010年 06月 21日
封じ込めた亡くなった子への思い |
母子手帳は、もちろん、二冊持っていました。
今でも二人がお腹にいることを確認するかのように
入院中もいつも二冊の母子手帳をそばに置いていました。
入院中も検診があったり、
母親学級があったりしました。
そのたびに、二冊分、記録をつけてもらっていました。
母子センターに転院して2週間が過ぎた頃でしょうか。
亡くなった子の扱いについて、思い切って婦長さんに聞く決意をしました。
それは、以前、生徒の中絶に関わった際、
取りだした小さな小さな赤ちゃんの扱いに心を痛め、
無理を言ってモスクで葬儀をし、埋葬してもらったという経験があったのも、
私の中で渦巻く思いの所以だったかもしれません。
私が気になっていたのは、
亡くなった子は、戸籍上、私の三男として扱われるのかどうか、
葬儀をしてやれるのかどうか、
埋葬方法は・・・?
入院中は、
ドクターやナースはもちろん、家族でさえも、
お腹の中で元気に育っている子へのみ、祈りの言葉を口にしてくれました。
一方で、亡くなった子への言葉や思いは日に日に誰からも聞くことができなくなっていました。
周りの人たちの亡くなった子への意識が薄れていることを感じ、
私の亡くなった子への思いを表に出す機会は失うばかりでした。
亡くなった子への思いを口にすることさえ憚れるようでした。
生命の息吹のメッセージをお腹の中から絶やさず送り続ける子が、
皆に祝福されながらこの世に生を始めること。
それが今、私が全力で向かうべきゴールでなければなりません。
後ろを振り返ってはいけない・・・・。
その思いを自分に強いるかのように、
亡くなった子への思いを封じ込めることに一生懸命だったように思います。
時折、二人がお腹の中にいる映像を映し出すエコー写真をひっそりと取り出し、
見つめ、亡くなった子を指でなぞり、一人カーテンの中、涙することで、
その思いを心の奥底から絞り出すのみでした。
一人が亡くなっていることを知って、一カ月が過ぎようとしている頃、
ようやく、その思いを口に出すことができたのです。
by aserenityprayer
| 2010-06-21 07:46
| 【命】次男の誕生にまつわるお話