2010年 06月 11日
「一泊二日」・・・気丈な美女の場合 |
私の向かいのベッドに、それはそれは美しい女性がやってきました。
私の日記にも書いてあります。
「常盤貴子似の美女がやってきた。『一泊二日の人』なのに、
落ち込む様子もなく、
ニコニコ笑って淡々としている。
笑顔で自己紹介してくれた人も初めて。
こういう人にはつい、自分からピエロになって自分の病状をペラペラ話してしまう。」
辛さを表に出さず、
逆にここで入院している私たちへ気を使って明るくふるまう彼女を見ていると、
(そんなに頑張らなくてもいいんだよ)
という思いがあふれてきました。
「私、流産したんです。処置をするので、今日、明日とお世話になります。」と
眩しいような美しい笑顔で言われ、
ぴょこんと頭を下げられると、何をどう話していいかわからず、
気がつくと、自分の病状を、彼女につられて明るく話している自分がいました。
前日の処置をして病室に帰ってきた時も、
淡々としていました。
カーテンも閉めず、明るく私に話しかけてきます。
夜には面会に来たご主人と談笑さえしています。
次の日、手術が終わって、朦朧とした意識の中、運ばれてきた時ちらりと見えた彼女の顔は真っ青でした。
意識が完全に戻るまでの間、カーテンは閉められ、わずかにもれるうめき声と泣き声。
(もっと大きい声で泣いてもいいんだよ。)
心の中で彼女に語りかけました。
その日の夕方、彼女はまたその美しい笑顔をふりまいて退院していきました。
私の日記です。
「Fさんの前でピエロになった甲斐があった。
つらかっただろうけど、『他にももっと大変な人がいっぱいいるとわかりました。』
ニコやかに『次、頑張ります!』と言って、胸を張って帰って行った。
外見もさることながら、素敵な女性だった。」
by aserenityprayer
| 2010-06-11 14:10
| 【命】次男の誕生にまつわるお話