2010年 06月 11日
長期戦に向かう前夜 |
大阪の実家への移動は、
夜でした。
関空から橋を渡って阪神高速湾岸線を走るそのコースは、
行きであれ帰りであれ、それが夜だといつも、
現実とは思えないような幻想的な世界にすっかり魅了されます。
真っ暗な海をバックに、
橋の上の低い位置をどこまでも真っ直ぐに走るセンターのライト。
その一帯は、真っ暗やみの中、
怪しい光を静かにそれでも動きを止めずに放ち続けます。
その向こうが海で、ここは休みを知らない工業地帯なのだと知らなければ、
昼間の顔を想像することもできないでしょう。
見慣れたその景色も、
あの時の私には、不気味な塊のように見えました。
実家で一日過ごした後、
母子センターに入院です。
貴重な家族での時間。
長男は、久しぶりに母親とのべったり過ごせることに酔ったように上機嫌です。
あまりのハイテンションな様子に、
お腹を抱えて笑ってしまうほどでした。
日記にはこう書いてあります。
「H(長男)とべったりいると気がほぐれるし、落ち着く。
久しぶりに大声でお腹の底から笑った。
笑うと気持ちいい。」
次の日にはまた入院生活が始まるという緊張感からか、
一夜明けるとこんなことを書いています。
「また息苦しくなってきた。一日中しんどい。
ウワァ~っと叫びたくなるほど、なんかへん。
せっかくのご飯もおいしく感じず、途中で苦しくなって外に飛び出す。
しばらく外の空気を吸ってウロウロ。
家に入っても、動物園の白クマのようにじっとしていられず、家の中をウロウロ。
途中からHがつきあってくれて、手をつないでグルグル。
おかげで少し落ち着く。」
その夜、長男にも私の不安が乗り移ったのか
夜中何度も目を覚まし、
「お母さんは?どこ?」と言って私を探します。
「ここにいるよ」と言っては抱き寄せ、寝入るということを繰り返しました。
そして夜が明け、
いよいよ、これからが長期戦の始まりです。
by aserenityprayer
| 2010-06-11 09:31
| 【命】次男の誕生にまつわるお話