2010年 05月 31日
生きることを諦めるということ |
いつもは仕事が最優先の夫も、
この時ばかりは慌てていました。
簡単に事情を説明すると、すぐに病院に向かうとの返事が返ってきました。
夫を待つ間、
夕方の誰もいなくなった外来の待合室で私はぽつんと一人座っていました。
ほんの数時間前、
ここは幸せそうな妊婦さん達で溢れていました。
もちろん、私もその一人でした。
ただ、その時にはもうすでにお腹の子は亡くなっていたのです。
知らずにここで笑顔を振りまいていた自分の姿が思い浮かび、
その賑わいがどんどん自分から遠くへ遠くへ離れていくのを感じながら、
私のこころは加速度を増して空っぽになっていきます。
「最悪の場合、母体の命の危険性もある」
そのドクターの言葉が浮かんできました。
待合室の長い廊下の端から端まで、長椅子を線路に見立てて
「シュッシュ~、 ゴードンは怒って言いました。『どけどけ~!』
パーシーにぶつかります!『トーマス、助けて~!』・・・・・」
などと一人でおもちゃを走らせながら無邪気に遊んでいる長男をボーっと見ながら思いました。
(死んでもいいか・・・・。お腹の子が亡くなってしまったのなら、もう、いいか・・・。死んでも・・・。
もう一人の子も時間の問題。
母体にも危険が・・・。
じゃあ、もう、3人とも死んじゃっていいか・・・。
いつも怒ってばかりのお母さんなんて、○○《長男》もいらないよね。お母さん、もういいや。ごめんね。)
つわりも二人分重く、
お腹もとても早い週数のころから大きくて身動きが取りにくく、
病院がなかなか決まらなかったり、
病院でいやな思いもたくさんしたり、
そんなことも影響して、ついつい長男に対して怒りっぽくなっていたことは
自分でもよくわかっていました。
だったら、もう消えてしまってもいいかもしれない・・・・。
ちっとも優しいお母さんでない私なんて、いなくてもいいに違いない・・・・。
後にも先にも、あれほどまでに「生」を諦めた瞬間はありませんでした。
「生」への気力が一瞬にしてごっそりと抜け落ちた私が、そこにいました。
by aserenityprayer
| 2010-05-31 07:42
| 【命】次男の誕生にまつわるお話