2010年 05月 20日
私が引き受けた彼女の罪 |
妊娠検査薬を買うときの女性の心境は様々です。
Zちゃんが訴える症状は妊娠初期そのものだということは、
まだ妊娠したことのない私にでもわかっていました。
その時19歳だったZちゃんは、
その罪の大きさから
まだ「妊娠していないのでは」という一縷の望みをその目に宿していました。
薬局から出てきた私の手から
妊娠検査薬を奪うようにしてむしり取ったZちゃんは、
トイレを探しているようでした。
はやる気持ちのZちゃんをなだめ、
私の家へ連れて帰りました。
家につくまで一言も話さなかったZちゃんは、
玄関のドアを開けた瞬間に箱を破り、トイレに駆け込みました。
疑うまでもなく、彼女は妊娠していました。
泣いている彼女に、私はもう一度確認しました。
「赤ちゃんを、産むことはできないんだよね?」
大粒の涙をポトポトと落としながら、
彼女は大きく頷きました。
それまでの、少し反抗的なまなざしで私を見ていた彼女が、
とても素直な目を私ぬ向ました。、
そんな彼女が、まるで一回りも二回りも小さくなったように感じた私は、
すべて引き受けようと決意したのです。
by aserenityprayer
| 2010-05-20 05:17
| 【命】私が体験した命のお話